コート ロティは、ボルドーのポイヤックやブルゴーニュのジュヴレ シャンベルタンなどと比べると知名度は低いですが、フランスで歴史ある古いワイン産地のひとつです。
シラーを使用しながらエレガントな味わいを持つため、ブルゴーニュが高騰している今、注目を集めています。
今回はこのコートロティについて解説します。
コート ロティとは
コート ロティ(Cote Rotie)とは、フランス、北ローヌ地方の最北に位置しているワイン産地です。
リヨンの南に広がるワイン産地で、アンピュイ(Ampuis)の村を中心に畑が広がっています。
コート ロティとは、フランス語で「焼けた丘」を表す言葉です。
その「焼けた丘」という意味である通り、崖のような急斜面が特徴的で日照量に恵まれています。
コート ロティはいくつもの丘で構成されており、ブドウ畑は東南〜南向きの斜面に位置しています。
崖のような急斜面に畑があるため、日照量は豊富で水はけが良いのが特徴ですが、その急斜面の為に機械作業が出来ないことも特徴のひとつであり、コートロティでのブドウ栽培には人手がかかります。
土壌は全体的にシスト(スレート粘板岩)が広く、南に行くにつれて花崗岩質が多くなっていきます。
品種
コート ロティでは赤ワインのみが生産されており、黒ブドウ品種ではシラーのみ認められています。
白ブドウであるヴィオニエを20%まで混醸することができますが、近年はヴィオニエを5%ほどまで抑えて使用している生産者が多い印象です。
以前コート ロティの畑が拡大された際、南ローヌのシラーに由来するクローンを持ち込み栽培する生産者が多かったのですが、元々コート ロティで栽培されていたシラーはスリーヌと呼ばれており、通常のシラーより淡い色調でピノ・ノワールに通じる繊細な味わいを持っています。
歴史
コート ロティはローマ人によってワイン産地として見出され、古くからワイン産地として名声を得ておりました。
フランスで最も古い畑のうちのひとつとされており、由緒正しいワイン産地です。
しかし猛威を振るったフィロキセラの被害により、一時ブドウ栽培は衰退してしまいます。
1920年代前後には70haほどしかありませんでしたが、その後ギガルの功績もあり再度脚光を浴びることができ、栽培面積は200haまで拡大。
ワイン産地としての地位を再度高めることができました。
Cote BruneとCote Blonde
コート ロティはいくつもの丘から成り立っており、その中でもCote Brune(コートブリュンヌ)とCote Blonde(コートブロンド)という二つの丘は有名です。
以前シャトー ダンピュイを所有していたモージロン侯爵の2人娘のそれぞれの髪の色が由来となったとされており、この二つの丘はそれぞれの娘に与えられたと言われています。
ブリュンヌは栗毛、ブロンドは金髪という意味でつけられています。
その名の通りで、コート ブリュンヌは粘土質で鉄分を多く含み少し黒っぽい土壌をもち、力強いタイプのワインを産出します。
一方コート ブロンドは砂状で白っぽい土壌をもち、エレガントで繊細なタイプののワインを産出します。
コート ロティの中でもこの二つの有名な畑からは、異なるタイプのワインが生産されます。
二つをブレンドしてバランスよく仕上げたワインも生産されています。
特徴
コートロティで造られたワインは、黒い果実やスパイスの香りをもち、凝縮感がありながら非常にエレガントなスタイルが多く生産されています。
新樽を使用する生産者も多く、長期熟成可能なタイプが多く生産されています。
コート ロティの主な生産者
Rene Rostaing ルネ ロスタン
Delas ドゥラス
Guigal ギガル
ラ ランドンヌ(La Landonne)、ラ ムーリーヌ(La Mouline)、ラ テュルク(La Turque)は有名な単一畑。
Chapoutier シャプティエ
Paul Jaboulet Aine ポール ジャブレ エネ
Jamet ジャメ