ブレタノミセスとは?欠陥?自然派ワイン?腐敗?

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Brettanomyces ブレタノミセス(ブレタノマイセス、ブレット)と聞いてピンとくる方は、かなりワインを調べている方ですね。

ブレタノミセスとは野生酵母なのですが、ワイン醸造においてとても注目されている酵母です。

今大ブームとなっているビオ ワインやヴァン ナチュールでは、特に注意が必要とされている酵母です。

今回はこのブレタノミセスについてお話ししていきます。

ブレタノミセスとは?

自然界に存在している、代表的な野生酵母です。

酵母の一種であり、細菌ではありません。

腐敗酵母とも呼ばれており、ブレタノミセスにより汚染されると「馬小屋」に例えられる様な、フェノレ(フェノール系オフ フレーバー)が生成されます。

ブレタノミセスが与える影響

ブレタノミセスによる汚染により、馬小屋、汗、納屋や豆の様な香りが生まれます。

あまり好まれない香りですね。。。

この香りは、ブレタノミセスがエチル4-フェノールを主に生み出すことによって、現れる香りです。

エチル4-グアイアコールも生成しますが、こちらは燻製の香りのようなスパイシーさが特徴です。

また、ブレタノミセスの汚染により、ワインの果実味を消し、フルーティーさを感じづらくしてしまいます。

ブレタノミセスの良いところ?

ブレタノミセスは全否定されているわけではなく、少量の混入であれば、ワインに複雑味を与える要素として歓迎している造り手もいます。

また、ビールの醸造では積極的にブレタノミセスを活用することもあり、「ランビック」という自然発酵ビールでは、味わいに複雑味を与える要素として、重宝されています。

ブレタノミセスはもともと20世紀初頭にビールの醸造過程で発見された酵母です。

1950年代にはワインでも発見されました。

ブレタノミセスの好みの環境

ブレタノミセスは、過酷な環境でもタフに生き残ることができる酵母として知られています。

人的コントロールがかなり難しいとされています。

白ワインよりも、複雑な過程を経る赤ワインでは汚染を受ける可能性が高いです。

さらにはPHが高い状態や、フェノール類が豊富な環境に適しているので、赤ワインは特に注意しなければなりません。

また、温度が高い環境下でも増殖しやすいので、比較的高温で発酵を行う赤ワインの方が汚染リスクが高いです。

うーん、赤ワインの醸造は大変だ・・・。

ブレタノミセスへの対策

しかしブレタノミセスを恐れているだけではいけません。

ここでブレタノミセスに対する対策を紹介します。

酸化防止剤の使用

まず1番大事なのは、二酸化硫黄の添加です。

二酸化硫黄を使用することにより、ブレタノミセスの活動を妨げることができます。

しかし近年自然派ワインの流行で、酸化防止剤の添加を減らしている作り手が多く、難しいところです。

二酸化硫黄とは、『酸化防止剤』としてワインに使用されている物質です。世界中のワインの99%で酸化防止剤は使用されており、醸造学上不可欠なものです。しかし近年の健康志向により、『酸化防止剤無添加』のワインが流行しています。酸化防止剤は本当に有害なのでしょうか?この記事では『酸化防止剤』についてお話しします。

清潔な環境を維持する

ブレタノミセスは、ブドウの果皮に付着していることもありますが、醸造所の中や木樽に住み着いている可能性もあります。

そのため、定期的な洗浄が必要とされています。ブレタノミセスによる汚染を危惧し、木樽は新樽のみを使用している作り手もいます。

品種で言えば、特にカベルネ ソーヴィニヨンに好んで付着していることが多いようです。

昔はブレタノミセスの影響による香りが、カベルネソーヴィニヨン 自体の香りとされていたこともありました。

1990年代まではボルドー地方ではブレタノミセスの混入が珍しくなく、ブレタノミセスによる汚染を感じるものもあります。

まとめ

ブレタノミセスについて、理解は深まったでしょうか?

少量であればまだしも、多く影響を受けてしまうとオフフレーバーが強くなってしまいます。

自然派ワイン特有の香りであるという方もいますが、強すぎると好みが分かれますね。

瓶詰め後にブレタノミセスに汚染され、そのヴィンテージを全て回収したワイナリーもあります。

賛否が分かれるところですね。

あなたは好みの香りでしょうか?


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