アルザスはフランスの中でも独特な文化が根付いている地域です。
チーズやワインの生産が盛んであり、アルザスで造られたワインは世界的に人気があります。
今回はフランスで最も重要なワイン産地のひとつであるアルザス地方について解説させていただきます。
アルザス地方とは
アルザス地方はフランスの首都パリから550kmほどの位置にある地域です。
ライン川とヴォージュ山脈に挟まれ、標高1000mを越える山々が連なっている山岳地帯です。
ドイツに近いということもあり、フランスとドイツによる領地争いの長い歴史があります。
そのためドイツからの影響は強く、フランスのワイン産地としては異彩を放っている存在ということができるでしょう。
アルザス地方の気候は半大陸性気候と言われており、標高が高く寒暖差が激しく、少ない降雨量が特徴的です。
ワインは白ワインの生産が95%程であり、残りは赤が約2%、ロゼが約3%です。
アルザス地方の土壌構成
アルザス地方の土壌はモザイクに例えられるほど多様性があります。
様々な土壌が存在しており、同じ地域でも位置によって異なる土壌構成の畑があります。
古くは中世代の頃、この地域は海でした。
しかし約5000万年前頃から地殻変動が起き、蜂起と陥没を繰り返したため様々な地層が存在しています。
花崗岩や砂岩、石灰岩や泥炭土などが複雑に入り混じった土壌は、アルザスワインの個性のひとつと言えるでしょう。
アルザス地方のワインの特徴
先述したようにアルザス地方はドイツとフランスの領地争いが行われていた場所ですので、1909年〜1945年の期間はドイツのワイン法が適用されていました。
そのため現在でもドイツのワイン法から受けた影響は色濃く、単一品種でのワイン造りや、糖度を重視したワイン法になっています。
フランスのAOC法は1962年から適用され、1975年にはアルザス グラン クリュが導入。
そして1984年からはヴァンダンジュ タルディヴと、セレクション ド グラン ノーブルも認められています。
ヴァンダンジュ タルディヴとセレクション ド グラン ノーブルに関しては後述させていただきます。
アルザス地方で栽培されているブドウ品種は、リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノグリ、ピノブラン、ミュスカ、シルヴァネールなど様々なブドウが栽培されていますが、黒ブドウで認められているものはピノノワールのみです。
アルザス地方で生産されるワインは小樽や新樽はあまり使用せず、果実味を生かしたピュアなタイプが多い印象です。
アルザスのおすすめワイン
アルザス地方では様々なワインが生産されていますが、アルザス地方を知るにはカジュアルなブレンドタイプのワインがおすすめです。
こちらはエデルツヴィッカーと言って、アルザス系品種をブレンドしたカジュアルなタイプの白ワインです。
比較的手頃な価格のものが多いので、その生産者のスタイルやアルザス地方を知るにはこのエデルツヴィッカーがおすすめです。
エデルツヴィッカーについて詳しくはこちらをどうぞ。
ヴァンダンジュ タルディヴ、セレクション ド グラン ノーブルとは?
『ヴァンダンジュ タルディヴ』『セレクション ド グラン ノーブル』は、厳しい基準をクリアした際にラベルに表記することができる呼称です。
収穫の手摘み義務など様々な基準がありますが、果汁糖分の最低含有量が大きな焦点となります。
ヴァンダンジュ タルディヴは『遅摘みワイン』、セレクション ド グランノーブルは『貴腐ワイン』を意味しています。
この2つを名乗ることが出来るのは、リースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノグリ、ミュスカの4品種のみです。
果汁糖分最低含有量
品種によって糖分の最低含有量は異なります。
ピノグリ&ゲヴュルツトラミネール
ヴァンダンジュ タルディヴ→257g/L
セレクション ド グランノーブル→306g/L
ミュスカ&リースリング
ヴァンダンジュ タルディヴ→235g/L
セレクションドグランノーブル→276g/L
※ピノグリ&ゲヴュルツトラミネールの方が糖度が上がりやすいため、厳しい基準となっています。
アルザス グラン クリュとは
1975年から認められているもので、グラン クリュとして認められた畑のブドウのみを使用し、手摘みの義務などの基準をクリアしたワインのみ名乗ることができます。
グランクリュに指定された畑から作られたワインは格上のAOCとされ、原則1品種を使用したものです。
認められている品種は、リースリング、ピノグリ、ミュスカ、ゲヴュルツトラミネールの4品種です。
そのためロゼや赤ワインは認められていません。
※2022年、ついにピノノワールを使用した赤ワインのグラン クリュが認められたようです!!!!
生産されているワインのタイプは甘口〜辛口まで多岐にわたり、その厳しい基準から高い品質を保っています。
グラン クリュは徐々に増え、現在は51のリューディ(小区画)が指定されています。
最後に
今回はフランスの主要ワイン産地、アルザス地方について解説させていただきました。
アルザス地方はシュークルートや、タルトフランベなどの郷土料理が多く、独自の文化を持っています。
アルザスワインはアルザスの郷土料理だけでなく日本食との相性も良いので、是非おうちで試してみてくださいね。