近年日本でも様々な場所でワインが生産され始めています。
しかしそもそも、どうして日本でワインはあまり造られてこなかったのでしょうか?
今回は日本でのワイン用ブドウの栽培について解説させていただきます。
日本でのワイン用ブドウ栽培について
日本でも古くからブドウの栽培は行われています。
しかし栽培されたブドウの目的はワイン用としてではありませんでした。
ブドウを生食する文化が日本には古くから根付いていたため、生食用に栽培されたブドウが圧倒的に多かったのです。
さらに、日本でワイン用ブドウを栽培するのは難しい要因があります。
日本でのワイン用ブドウの栽培が難しい点を、今回は気候と土壌の観点からお話しします。
下記記事も是非参考にしてください。
日本の気候
皆さんもご存知の通り、日本はかなり多湿な気候です。
この湿度の高さがワイン用ブドウの栽培に適していないのです。
ワイン用ブドウの原産地は乾燥地帯に偏っている通り、ブドウは乾燥した気候を好みます。
ブドウの生育期に雨が多いと枝が成長しすぎてしまい、果実ではなく枝へとエネルギーが向かってしまいます。
これは剪定を行い枝の長さを調整することにより克服できますが、かなりの手間がかかってしまいます。
また、日本では果実が成長する時期に梅雨があるため、根から水分を吸収するだけでなく、果皮を通しても水分を吸収してしまいます。
そうすることで、水分供給過剰になってしまいます。
水分供給過剰になると果皮が割れてしまったり、水膨れ状態になるのでブドウの味わいは凝縮感に欠けたものになってしまいます。
瑞々しいブドウは生食用にはいいんですけどね……
湿度がブドウに与える影響はそれだけではありません。
多湿な気候であるため日本にはたくさんのカビが存在しています。
このカビはブドウにとっては天敵なのです。
ブドウがカビに冒され病気にかかるリスクが高いことも、ワイン用ブドウを育てることが難しい理由の1つとなっています。
※病害からブドウを守るために農薬を使用しても良いのですが、ナチュラル志向の昨今は難しいですよね。そのため病害から守るために徹底した管理が必要になります。(これも手間がかかります)
日本の土壌
一般的にワイン用のブドウは、排水性が良く痩せた土地を好みます。
しかし日本の土壌の多くは、排水性が悪く保水性が高いです。
この土壌がもつ特性は稲作などには適しているのですが、残念ながらワイン用ブドウ造りには適していません。
保水性が良いと地中に水分が蓄積するため、ブドウの根の呼吸を妨げます。
その結果根が酸素不足になってしまい、十分に活動することができません。
また、保水性が良いと根は地中深くまで伸びる必要がないので、地中のミネラル分を吸収することができません。
ブドウの栽培条件の記事も貼っておきます。
最後に
今回は日本でのワイン用ブドウ栽培の難しさを、気候と土壌の観点からお話ししました。
しかし熱き生産者達は日本でブドウ栽培に適している場所を探し、丁寧にワイン造りを行なっています。
困難に打ち勝つよう努力している日本ワイン、是非とも応援したいですね。