ワインには『旧世界』と『新世界』という表現があります。
旧世界と新世界にはどのような違いがあるのでしょうか?
今回は旧世界と新世界についてお話させていただきます。
旧世界と新世界の違いとは?
一般的に『新世界』という言葉は、大航海時代(15世紀半ば~17世紀半ば)に欧州人が発見した新大陸の呼び名です。
ヨーロッパやアジア、アフリカなどが世界を形成していると考えられていた時代に、新しく発見された土地はまさに新たな『世界』だったことでしょう。
この考えはワインの『旧世界』『新世界』にも影響を与えており、同じように旧世界は古くからあるワイン産地を表し、新世界は新しいワイン産地を表します。
ワインにおいても大航海時代が一つの区切りとされており、大航海時代以降にワイン造りが伝わった国々を『新世界』と呼んでいます。
日本や南アフリカはアジア、アフリカに含まれているので、一般的には『旧世界』なのですが、上記の理由からワインにおいては「新世界に含まれている」ようです。
旧世界のワインとは
『旧世界』は、大航海時代以前からワインを生産している国のことを表しています。
旧世界はワイン造りの歴史が長く、その国自体の歴史とも固く結びついており、ひとつの文化を形成しています。
また、世界の歴史を語る上で忘れてはならないキリスト教では、「パンはキリストの身体、ワインはキリストの血を表す」と言われています。
キリスト教で行われる『ミサ』では元来パンとワインが配れていたため、ワインはキリスト教にとって不可欠な存在でした。(現在はミサでパンとワインの両方を配ることは廃止されているようです)
ヨーロッパ諸国がキリスト教と結びつきが強いように、ワインもヨーロッパ諸国にとっては重要な意味を持つ飲料です。
『フランス』『イタリア』『ドイツ』『スペイン』などは旧世界を代表する国々です。
『旧世界』はワイン法の整備等が早くから進んでいるため、ワイン産地名自体に価値のあるものが多く、ブドウ品種名よりもその産地名を重要視している国が多くあります。
新世界のワインとは
一方、『新世界』は大航海時代以降にワイン造りが伝わった国々を指す言葉であり、『ニューワールド』とも呼ばれています。
旧世界と比べてワイン造りの歴史が長いとは言えず、国の歴史と結びついているというよりは、旧世界諸国の造った伝統に捕らわれずにより良いワインを造っていこうという姿勢の国が多いように感じます。
代表的な新世界は『アメリカ』『オーストラリア』『ニュージーランド』『チリ』『アルゼンチン』『日本』などです。
この新世界は旧世界と比べると、多くの場合ワインラベルに品種名を表記しています。
すでにワイン産地としての知名度が高い旧世界とは違い、新世界のワイン産地を言われても品種構成が浮かぶ人はかなり少数だからでしょう。
せめてワインのスタイルが伝わるように、わかりやすく品種名を表記しているようですね。
旧世界と新世界、どちらのワインが美味しい?
『旧世界』と『新世界』、どちらが優れているというわけではありません。
しかし旧世界の方が歴史が古く、由緒正しいと考えている方が多いのではないでしょうか。
やはり歴史が長い方が、秀逸なワインを造るはずだと考えます。
しかし有名な事件で、『パリテイスティング』というものがあります。
パリテイスティング
今でこそ新世界で高品質なワインが生産されていることは周知の事実です。
しかし『旧世界』と『新世界』という言葉があらわすように、以前は新世界のワインの実力は過小評価されていました。
この新世界のワインがその実力を世界に披露したのは1976年に行われた『パリテイスティング』です。
新世界のワインを代表して主人公となったのはカリフォルニアワイン。
『パリテイスティング』は、パリで行われた『ブラインドテイスティング(銘柄を知らずに採点)』のことです。
このブラインドテイスティングの結果、フランスの高級ワインを当時無名であったカリフォルニアワインが打ち負かすことになったのです。
これを機にカリフォルニアワインだけでなく新世界のワインが認められ始めるようになったのです。
こちらはパリテイスティングについて詳しく書かれていますので、気になる方はチェックしてみてください。
最後に
今回はワインにおける旧世界と新世界、パリテイスティングについて解説させていただきました。
もはや2つの世界が造るワインのレベルは、あまり変わらないのかもしれませんね。
皆様はどちらのワインがお好きでしょうか?