『シャンパン』という言葉は有名で、ワインやお酒に興味のない方でも聞いたことがあると思います。
でも、「スパークリングワインはすべてシャンパン」だと思っていませんか?
シャンパンはスパークリングワインの中のひとつであって、すべてのスパークリングワインがシャンパンであるわけではありません。
今回はこの「スパークリングワインとシャンパンとの違い」についてお話させていただきます。
スパークリングワインとシャンパンの違いとは
まず『シャンパン』とは、『シャンパーニュ(Champagne)』の略なのです。
『シャンパーニュ』はフランス東北部の地方名です。
パリから140kmほど東に位置しており、『ランス』を中心とした発泡性ワイン(スパークリングワイン)の産地です。
このシャンパーニュはフランスワイン生産の北限地として知られ、年間平均気温約11℃と厳しい気候が特徴です。
シャンパーニュの生産地として認定されている区域は、マルヌ県、オーブ県、エーヌ県、セーヌ エ メーヌ県、オートマルヌ県の5県に広がる特定のブドウ畑です。
まずシャンパーニュと名乗るためには、その区域で栽培されたブドウを使用したワインでなければなりません。
その他にもシャンパーニュと名乗るためには厳しい基準があります。
シャンパーニュと名乗るための基準について3つご紹介させていただきます。
①ブドウ品種
シャンパーニュと名乗るためには、規定されたブドウ品種を使用しなければなりません。
規定されたブドウ品種の中で頻繁に使用される品種は『シャルドネ』『ピノ ノワール』『ムニエ(ピノ ムニエ)』の3品種です。
この3品種を使用したスパークリングワインは、他の地域・国で造られたワインであってもしばしば『シャンパーニュブレンド』と呼ばれています。
上記3品種以外では、『ピノ グリ』『ピノ ブラン』『アルバンヌ』『プティ メリエ』の使用も認められていますが、栽培面積は極わずかとなっています。
②圧搾
シャンパーニュを名乗るためには圧搾に関しても規定があります。
『圧搾』とはブドウを搾って果汁を得る作業のことです。
シャンパーニュでは「4000kgのブドウから2550ℓ」の搾汁が認められています。
生産者からすれば、一定量のブドウからたくさんの果汁を搾れた方がたくさんのワインを造ることができるので、多くの利益を得られます。
しかしそのようにブドウから果汁を多く搾ることを認めると、得られる果汁の品質は低下し、できるワインの品質も低下してしまい、「シャンパーニュ全体の品質が低下」に繋がってしまいます。
シャンパーニュの品質を保つためにも、搾汁の規定は必要になってきます。
シャンパーニュで認められている2550ℓの搾汁のうち、「最初の2050ℓをキュヴェ」「次の500ℓをタイユ」として区別しています。
③瓶内二次発酵
ワインは発酵の過程で、糖分からエチルアルコールと二酸化炭素を生成します。
その生成された二酸化炭素を瓶内に閉じ込めることによって、ワインに発泡性を持たせようということです。
簡単に言うと一次発酵でワインを造り、二次発酵でスパークリングワインにするイメージです。
これをワインボトルの中で行う製法が、『瓶内二次発酵』です。
アルコール発酵により生成された二酸化炭素は、長い年月をかけてワインに溶け込んでいきます。
そのため『瓶内二次発酵』で造られたスパークリングワインは、熟成期間が長く必要になります。
スパークリングワインを造る製法として、タンクに大量のワインを入れて二次発酵をさせた後に瓶詰めを行うシャルマ方式や、炭酸ガスをワインに注入する方法などが挙げられますが、シャンパーニュと名乗るためには『瓶内二次発酵』で造らなければなりません。
この『瓶内二次発酵』は高品質のスパークリングワインができあがるのですが、非常に手間がかかります。
そのためリーズナブルなスパークリングワインでは瓶内二次発酵は製法としてあまり採用されていません。
最後に
今回は「スパーリングワインとシャンパンの違い」をいくつかお話させていただきました。
すべてのシャンパーニュは厳しい基準をクリアして生産されています。
次にシャンパーニュを飲むときが楽しみですね。